健常な方の股関節は軟骨がつるつるの状態ですが、加齢・体質・環境による負荷の蓄積によって、関節軟骨は、徐々に摩耗してきます。特に股関節は荷重がよくかかるため摩耗しやすいです。股関節の形状は個人差が大きく、荷重がかかる面積やその応力も個人差が大きいです。徐々に、関節は変形を始めます。これまで、つるつると動いていた関節面は、しだいにざらざらして、最後にはゴツゴツするというようなイメージです。さまざまな疾患の終末像となり、進行すればするほど股関節の痛みや機能は低下します。早期診断と対処が必要であり、MRIを用いて、精密に評価することが大切です。
原因や病態は未解明なことが多いですが、血行障害により骨軟骨が壊死して、後に変形性股関節症に移行することがあります
外傷やスポーツ、加齢などの原因により、股関節の周りにある関節唇という軟骨が損傷をうけ、炎症をきたすと痛みがでます。
関節リウマチは全身に起こりますが、股関節にも生じます。自己免疫によって、股関節に炎症が生じ、次第に関節が壊れてきます。
初期治療は、お薬とリハビリです。「炎症をしずめつつ、痛みをとるお薬」を内服・外用しながら、リハビリの先生の指導をうけると痛みが早く緩和します。リハビリの先生は、痛みの再燃や病態の進行を防ぐための指導もしてくれます。強い痛みの場合や痛みを早くとりたい場合は、股関節内に炎症をしずめる薬を注射します。当院では、注射をするときは超音波エコーを用いて、ターゲット部位に正確に打ちますので、安全性が高く、速やかな効果が期待できます。MRIをすることで、関節の中の状態を精密に把握できます。精密検査をして正しい診断をつけましょう。正しい診断と治療によって、痛みは早く軽快し、長期的な好成績を生むことができます。
消炎鎮痛剤はいろいろな種類があり、強さも副作用も異なります。上図は、その一例を示したものです。図の右に行けばいくほど、炎症をしずめる効果は高くなりますが、長期に連用すると副作用が生じる確率が増えます。逆に図の左に行けばいくほど、副作用のリスクは減りますが、効果の即効性は低くなります。適切な時期に適切な薬剤を使うことで、効果は高まり副作用を減らすことができます。そのあたりを診察で適切に指導させていただきます。